2025/10/17 20:39

展覧会を控えたアーティスト・イラストレーターの悩み:展示の悩みを解決する戦略


秋はアートフェアや展覧会が数多く開催される季節です。現在、展覧会の準備に奮闘されている、または今後の開催を検討されているアーティストやイラストレーターの皆様へ、皆様が抱える共通の悩みに寄り添う、具体的な成功へのヒントをご紹介します。


あなたもこんな悩みを抱えていませんか?

作品の見せ方・空間演出: 自分の作品の世界観を、空間全体でどう途切れずに表現するか。

・額縁・額装の選択: そもそも額装をするべきか? 費用と効果のバランスは? 作品に合う額縁が見つからない。

コスト面: 制作費、額装費、運搬費、会場レンタル代、そしてギャラリーへの販売マージン(手数料30〜50%)など、費用がかさみ、黒字化が難しい。


展覧会を成功させるためには、作品の質はもちろんのこと、「いかに魅力的に見せ、効率よく売るか」という戦略は必要です。

今回は、この課題をクリアした事例として、人気イラストレーターGODTAIL(ゴッドテイル)氏が、私がプロデュースする「アートカプセル」という新しい展示方法で、どのように魅力的かつ効果的な展示空間を作り上げたのかをご紹介します。この記事が、ご自身の展示を成功させるための具体的なヒントや、額装・展示における新しい視点となることを願っています。




GODTAIL氏の紹介と作品の特徴:世界を股にかけるベテランの挑戦

躍動感あふれる色彩の魔術師


イラストレーターとして20年以上のキャリアを持つGODTAIL氏は、まさに今、乗りに乗ったベテランアーティストです。企業の宣伝ビジュアル、有名アーティストの広告やミュージックビデオへの採用など、その活躍は多岐にわたります。

特に昨年は、世界的企業であるマーベル(Marvel)の公式イラストレーターに就任するという快挙を成し遂げました。アメコミを愛し、イラストレーターを志したという氏にとって、まさに夢を叶えられた方です。現在は主に海外のコミックコンベンションでも積極的に活動されており、そのキャリアは充実の一途を辿っています。


繊細さと迫力を両立したイラスト

GODTAIL氏の作品の魅力は、その迫力ある線の表現と、カラフルでかっこいい色使いにあります。アメコミ風の力強さを持ちながらも、日本のイラストレーター独特の繊細さを合わせ持った画風は、一度見たら「GODTAILさんの絵だ」とわかるほどの個性を放っています。





「アートカプセル」開発秘話:ノイズを排除した新たな額装への挑戦

カラフルな個展へのご相談

個展のコンセプトは、カラフルな女性たち。キャラクターごとにテーマカラーが決まっており、これらの作品をより魅力的に際立たせるために、「作品の色に合わせたカラーアクリルのフレームを作れないか」というご相談をいただきました。


当時、安価なカラーアクリルフレームは海外で流通していましたが、F20号という「大きめのキャンバスサイズに対応する、チープにしたくないがコストも抑えたい」というご要望があり、このご相談がアートカプセル誕生の最初のきっかけとなりました。


額装家・多喜博子が嫌う「ノイズ」の解消

既存のアクリルフレームの多くは、固定のためのネジや金具が側面や正面から見えてしまい、そのノイズが作品と空間の美しさを損なうと感じていました。

私は、強度を保ちつつも、金具が一切見えず、側面も綺麗に見えるスライド式フレームの新しい構造を考案しました。



コストパフォーマンスを高めるための「スライド式」

アートカプセルをスライド式にしたのには、長期的なコストメリットという戦略的な意図があります。

1.作品の入れ替えが容易: 額縁を使い回し、中の作品を入れ替えることができるため、今後の展覧会でも再利用が可能です。

2.シンプルな構造=コスト抑制: 構造をシンプルにすることで、製造コストを抑え、作品を保護しながらも手の届きやすい価格を実現しました。

さらに、素材も強度とGODTAIL氏の作品コンセプトに必要な豊富なネオンカラーに対応できるものを選定しました。




【活用事例詳解】展示空間の設計と演出:ネオンカラーが織りなす世界観と空間演出

1. 統一感と連続性で世界観を構築

個展では、カラーの決まった女性の作品がF20号サイズで約10点、会場に並びました。

アートカプセルは、作品のカラー(ネオンオレンジ、ネオングリーン、ネオンレッドなど)に合わせて制作され、展示全体に圧倒的な統一感と連続性を生み出しました。

額装家として見ても、同じサイズの作品を豊富なカラー展開で並べることで、会場全体が華やかに映え、GODTAIL氏の世界観が途切れることなく、作品単体ではなく空間全体で表現されることになりました。




2. 浮き出る色彩と視線を集めるフレーム

展示会場の壁は、質感のあるグレーの壁でした。そこにネオンカラーのアートカプセルに入れた作品をかけた様子は、まるで「浮き出て見える」ような視覚効果を生み出していました。

特に、会場に差し込む自然光がネオンカラーのカプセルに当たると、フレームがまるで内側から発光しているかのように見え、作品の躍動感をさらに際立たせていました。ギャラリーの外からもこのネオンカラーが非常に目立ち、それがきっかけで会場に入ったお客様も多かったというお話を後日伺っています。





展示実現による実利:黒字化と購買意欲の向上【費用対効果の証明】


額装は「購買後のイメージ」を容易にする投資

展覧会での販売において、額装家としての私の結論は、額装はお客様の購入を後押しする極めて重要な要素ということです。
額縁に入っている作品は、飾られた状態がイメージしやすく、購入後の不安を解消してくれます。フレームを含めて作品と一体となったものを見ると、よりそのイメージが明確になり、結果的に販売促進に繋がります。
実際、GODTAIL氏の個展では、このアートカプセルに入った作品がおかげさまで、ほぼ完売という結果に繋がりました。


費用対効果と黒字化

この個展では、ギャラリーへの手数料(30〜50%)や額装費用を差し引いても、黒字になったそうです。

展示会を開催しても、なかなか黒字にならないアーティストが多い中、アートカプセルという認知宣伝になる展示装置への投資が、コストパフォーマンスとして十分に有効であることを証明しました。アートカプセルはスライド式で作品の付け替えも容易なため、一度制作すれば、他の作品にも使い回しが可能です。





まとめ:作品を未来へつなぐ「カプセル」


アートカプセルが実現した要素

GODTAIL氏の展示は、アートカプセルによって以下の3つの要素を実現しました。

  1. 新しさと統一感のある美しい空間の演出

  2. 長期的なコストパフォーマンスの向上と、作品の使い回しのしやすさ

  3. 作品の保護と、購買意欲を高める付加価値の向上


額装家 多喜博子からのメッセージ

アートカプセル(Capsule)というネーミングには、私からのメッセージを込めています。

絵画やアート作品は、アーティストやクリエイターが”この時代に生きてきた証”そのものです。その大切な証をカプセルに託し、皆さんの作品が、これからを生きる誰かの心の支えになったり、心に残るようにという願いを込めています。

「自分の作品に合う額装がない」と、魅力的な展示方法を諦めているアーティストの方も多いと思います。アートカプセルは、そんな悩みを解決する戦略的な選択肢の一つです。

ご自身の作品の魅力を最大限に引き出し、展覧会を成功させるための「アートカプセル」にご興味のある方は、ぜひ当オンラインショップまたはウェブサイトよりお気軽にご相談ください。